薬師寺 宏行さんのメッセージ

今回の100キロ歩行に参加しようと思ったのは、高校生の兄の誘いがあったからです。父と兄と僕の3人で参加することに決めたのは、締め切りの数時間前でした。そこから母の協力を得て、ルートの下見や道具のチェックなど、何日もかけて準備をしました。練習は、平日は夕食の後に母の車で総合グラウンドに行き、外周を2周するという簡単なものでした。日曜日は、家族で約10kmを歩きましたが、それでもへとへとになるか足が痛くなるかだったので、100kmなんて想像もつきませんでした。
そして、いよいよ当日を迎えました。一緒に参加するはずだった父は、練習中に足を痛めてしまい棄権したので、結局、僕と兄の2人でスタートすることになりました。スタート地点では、正直なところ「50kmまで行けたらいいな。」と思っていました。
12.1km地点の沖田神社前の土手までは、兄と兄の友人との3人で気楽に話しながら歩いていましたが、次第にバラバラになり、気がついたら1人で歩いていました。
25.8km地点の西大寺門前交差点に着いた頃には、小雨が降ってきました。雨は想定していたので、「やっぱり、降ってきたか」と思い、レインウェアを着ました。
雨は、43.3km地点の備前中学校に着く頃には、風もひどく嵐のようになっていました。疲れていたので、そこで食べたラーメンが本当に美味しかったです。ここでは、両親が心配して応援に来ていましたが、母がさしていた傘がおちょこ状態になるくらい風が強くなっていました。それから、僕は再び元気になった気がして次の地点を目指しました。
当初思っていた50km地点の伊里漁港へ実際に着いてみると、大雨にも関わらず案外体力が残っていたので、「これは100km完歩いけそうかも?」と感じました。ですが、周りを見ると辛そうにして座り込んでいる大人の人たちも多く、「ここで休んだらダメになる」と思い、あまり休まず次の地点を目指しました。
ここからは、暗くて長い上り坂が続いていました。僕は、雨と暗さによって道端から何かが襲ってくるのではないかと怖くなりました。今思えばその恐怖感が疲労を感じさせなかったのかもしれません。前を歩く大人の人に歩調を合わせ、一気に山を越えてしまおうと思い必死でした。その時にその大人の方から教えてもらった、「速く歩く方法」が、ずいぶん役に立ちました。
今回で一番厄介だったのは、やはり雨でした。雨で靴が濡れてしまうと、歩くときの摩擦と靴の中の湿気であちらこちらに豆ができます。僕の場合は、幸運なことに豆ができたのは右足の第2足指だけでした。しかし、それも68.7km地点のリバーサイド和気に着く頃には、限界に達していました。そのとき、僕は「リタイヤしようかな」と、思いましたが、一緒に歩いていた大人の方のアドバイスで、サポーターの方にテーピングをしてもらって少し持ち直しました。そして、ここでのスープとカレーが抜群に美味しかった!です。
81.2kmのマックスバリューに着いた頃には、夜が明け始めていました。ただ、その頃は兄がどうしているのか心配していたのと疲れがMAXに達していたことで、リタイヤしたい気持ちが強くなっていました。
大原橋に差しかかった頃、父から励ましの電話がありました。そしてスタッフの方も、「少しペースを上げればまだ間に合う!」と、ゴールに向かいながら励ましてくださいました。
ゴール地点に到着すると、多くのサポーターの人たちや母が拍手で迎えてくれました。僕はゴールした途端に、安心してその場に座り込み、立てなくなりました。
スタッフの人から、「時間内に完歩した人の最年少記録だよ。」と言われた時には、本当に「歩いてよかった」と思いました。同時に、「これで『完歩なんて無理でしょ』と言っていた部活の顧問の先生や友人たちの鼻を明かすことができる!」と考えながら、一人でほくそ笑んでいました。
僕が完歩できたのは、大勢のサポーターやスタッフの皆さん、途中で助けてくださった他のチャレンジャーの方たちのおかげだと思っています。皆さん、本当にありがとうございました。
来年は、サポーターとして参加したいと思っています。