私が24時間・100キロ歩行というイベントを知ったのは、自宅がコース脇に建っているからです。と言っても、これまでは子供との予定を優先し参加することはありませんでした。
もともと「歩く」ことが好きで、社員旅行で行った北海道の最終日の自由行動を札幌駅前から新千歳空港まで歩くだけに費やすような性分だったのですが、厄年と重なったここ3年程はケガでまともに歩くことができなくなり、リハビリの日々を過ごしていました。そんなリハビリが実を結んで回復の兆しが見え始めた折。ふとこのイベントを思い出して調べたその時がまさに申し込み期間その時で、このイベントを一つの目標に定め、意を決して、家族に黙って申し込みました。
イベント当日の朝のワクワクは今でも鮮明に覚えています。しっかり睡眠をとっておかなければならないのに、遠足前の小学生の様に意味もなく早く目が覚め。結局予定よりも1本早い電車でスタート地点へ向かいました。リハビリしつつ練習は十分。目標タイムは21時間。一定のペースを意識して自宅前で家族からの声援を受けつつ、予定よりも少し早く備前中学校に到着しました。その頃はまだ体に大きな異常もなく少し楽観的にもなっていました。
そしていよいよ顕在化した異常事態。和気の山越え。長い下り坂と気温の低下で、足裏から大腿まで一気に足が痛くなってしまいました。休憩すると筋肉が冷えてしまう為、最低限の休憩しかできず、身体を温める為にペースを上げる。磐梨中学校からゴールまでは、休憩することにむしろ不安を感じてしまい、ただひたすらに遠く前方を歩く参加者の光を追いかけて歩いていました。
ゴールタイムは19時間14分。
良いのか悪いのか、目標よりも2時間近く早く歩ききってしまいました。
完歩してあらためて振り返ると、サポーターさんからの「行ってらっしゃい」「頑張って」と言う声援。「行ってきます」と返す返事。矢印に記されたメッセージ。参加者同士の何気ない会話。そんな人と人とのコミュニケーションが何よりも大きな推進力だったなとしみじみ感じています。感謝の気持ちでいっぱいです。
歩き終わった翌日は「1回完歩したからもう十分だ」と足を引きずっていましたが、足の痛みが消えると不思議と「また歩きたい」という思いが沸々と湧き上がってくるようになりました。そして今、来年に向けて中学生の娘を勧誘しています。きっと彼女の人生において、かけがえのない貴重な経験が得られる。そしてその瞬間まで隣でサポートし、その瞬間を一緒に味わいたいと思い勧誘しています。
きっと娘と歩く次回は、目標タイムを23時間に設定して、目標通りに歩ききりたいと思っています。
また来年。ゴールでお会いしましょう。
安藤 直継