「あの純粋な瞬間に戻りたいと強く願う自分がいます」歴舎 久美子

伊里漁協から閑谷学校への上り坂、本降りの雨に打たれながらの歩行は、肉体的にも精神的にも非常に過酷な時間でした。目の前の背中を淡々と追いかける私の頭の中にあったのは、「どのタイミングでザックの水とおせんべいを前のポケットに移すか」という、生存のための最小限の段取りだけでした。

​しかし大池緑地公園でレインウェアを脱ぎ捨ててからは、不思議と歩行スピードが上がり、心は完全な「無」へと向かいました。仕事も、家で待つ家族も、自分の名前さえも忘れ、ただ歩く。そこにあったのは、あらゆる社会的役割から解放された「一個の生命体」としての剥き出しの自分でした。

​日常に戻った今、あの純粋な瞬間に戻りたいと強く願う自分がいます。この稀有な体験を、スタートからゴールまで笑顔で支えてくださったサポーターの皆様に、心から感謝申し上げます。

歴舎 久美子

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