「人生で1番辛く、1番楽しかった100キロ」一色 祐司

去年の大会をSNSで見て、ぜひ出場したいと思って、友達2人と参加申し込みをしました。ペアの部ができたので、片方が落選と言う心配はなくなりました。
「魂のデトックス」「人生が変わる」などのキャッチコピーに惹かれました。

1 練習について
普段から毎日13000歩以上、歩くようにしています。また毎日7~10キロのジョギングをしています。
年に1回はフルマラソンを走り、その他、トレランやロードバイクなどにも取り組んでいます。速くはないのですが、ゆっくり長く走るのは得意だと思っていました。
2月のフルマラソンが終わってからは、100キロウォークのための練習を始めました。
単純計算だと1キロ14分23秒以内で進めば、感歩できます。
こんなのは簡単だと思いました。普段フルマラソンでは1キロ6分~6分半のペースで走っているからです。
ウォーキング練習初日、友達と散歩をしました。話しながら歩いて、時間を見て愕然としました。1キロ17分もかかっていたのです。
それからは、歩く速さをいつも気にかけながら練習しました。1キロ14分でいいと言っても、トイレやコンビニ、エイドなどを含めての時間なので、1キロ12分で歩くことにしました。1キロで2分程度の貯金ができます。10キロで20分余裕があれば、なんとかなるはずです。
しばらくは1キロ12分の練習を続けました。
ある時、街中で練習している時に、前をスーツ姿のビジネスマンがスマホを操作しながら歩いていました。
私は1キロ12分なので大体の人には追いつくのですが、この人にはどんどん離されていきます。どのぐらいのペースなのかついていくと、1キロ9分10秒でした。革靴のビジネスマンがこんなに速く歩けるのだからと、それからは9分台で歩く練習をしましたが、なかなかうまくは行きませんでした。速くても1キロ10分台が限界でした。
本番3週間前には、50キロ歩行をしました。朝6時に家を出て、途中のコンビニでおにぎりを買いながら歩きました。10キロでおにぎり1つのペースが良いと感じました。
40キロぐらいで嫌になり、電車に乗って帰ろうと思いましたが、なんとか持ち堪えて、51キロ歩きました。11時間でした。後半疲れたり豆ができたりすることを考えると、ぎりぎりの状態だなと思いました。
2週間前には、金曜日の仕事終わりに、夜間歩行をしました。夜9時から朝5時まで34キロ、1キロ14分かかりました。意外と眠くならずに楽しく歩けました。
大会当日の雨の確率が50%だったので雨の中カッパを着る練習もしました。
ポンチョ、ゴアテックス、軽いトレラン用の3種類を試しました。
「ポンチョはリュックの上からかぶれるので、便利だが重い」
「ゴアテックスは快適だけどリュックが濡れる」
「トレラン用は、軽いけど蒸れる」
とどれも一長一短があります。どのカッパも体は濡れないけれど、靴がびちょびちょになることわかりました。足がふやけて、豆ができるのが心配です。
結局、当日は0%だったので、防寒用も兼ねて軽いトレラン用を持って行きました。

このように、スピード練習、50キロ歩行、夜間歩行、雨天歩行など、練習はきちんとできたと思います。

2 装備
ザックの中身
16リットルのトレラン用のザックに次のものを入れました。
カッパ、長袖シャツ、ペットボトル2本、補給食5つ、ピーナッツ、おにぎり3つ、
エマージェンシーシート、ワセリン、絆創膏、テーピング、
スマホ、バッテリー、ケーブル、ヘッドライト、予備電池、タスキ、コース地図

服装
マラソンシューズ、タイツ、短パン、Tシャツ、アームカバー、帽子(後頭部にひらひらつき)、サングラス、指出し手袋、ウォーキングポール

2 本番当日
山口県から新幹線で岡山に着いたのが8時03分。駅のコンビニでおにぎり3個を買う。すごい行列。
8時18分発の電車で西川原へ。
受付をして歩く姿になる。更衣室がないので、草の上で着替える。
快晴で、熱中症が怖いので、鉄橋下の日陰で休む。

スタート
最初の1キロは16分。
22キロまでは1キロ10分から12分台で歩けた。
想定通り。貯金がだいぶできた。
23キロのラップが28分。コンビニ、トイレ、エイドだかこれも想定内。
踵に靴ずれの予感がしたので絆創膏を貼る。早めの処置で、その後違和感がなくなる。
前半のコンビニは行列になるので、スーパーの方が品揃えも多く、行列もないことに気づく。
40キロ以降はポールが使えるため、坂道でも楽に歩けた。
54キロまではエイド以外は12分台以内で歩けた。
60キロ過ぎの緑地公園以降は激坂のため徐々に遅れ始める。
寒くてカッパを着る。
今までの貯金があるとはいえ、できるだけ14分以内で歩くようにする。
和気駅のトイレで赤鬼4人に追いつかれる。感歩できないのかと焦るが、「早めに歩いているので大丈夫。エイドでゆっくり時間調整するから」とのこと。

69.9キロのリバーサイド和気から磐梨中学校までの川沿いの道では、あまりの単調さに寝ながら歩いてしまい、1キロ20分もかかる区間もあって心が折れた。ペースがどんどん落ちてきて、もうダメだと思った。やっと辿り着いた磐梨中学校で、うどんを食べた。
その辺に人がゴロゴロと寝ていて、「あーこの人たちはここでリタイヤするのかな」と思うと、僕もリタイヤしたくなった。

ここで残りの距離と時間を計算すると、「1キロ17分で歩けば間に合う」ことがわかった。この速さは、練習の時に友達と散歩したのと同じスピードだということを思い出して、もしかしたら感歩できるのでは?と、元気が復活した。
前を歩く団体さんになんとかついていくことにした。住宅街の坂道も団体さんに引っ張られ、約6キロを1キロ12分台で歩く。
夜が明け始め、ヘッドライトを消す。
ラジオ体操の歌「新しい朝が来た、希望の朝だー」が頭の中で何度もくり返される。
「歩くの楽しい~」と思ってニヤニヤしながら、91.8キロの最後の関門に着いた時、サポーターから「感歩おめでとう」と言われて涙が出る。あとたったの8キロ。

油断したのがいけなかった。
水分も、補給食もない。
日が昇っているのにカッパも着たまま。暑くて汗が出てきた。バス停でカッパを脱いだ。
あと8キロと簡単に言うが、普通なら車で行く距離。油断した今の僕には途方もなく遠く感じられた。遠くに見える赤い橋。あれを渡っても、ゴールはまだ先。
赤い橋の手前の信号で、道案内の人が
「あと4.4キロ」と教えてくれた。時計の表示とは2キロもずれている。
橋を渡り、土手を歩く。
ようやく残り、1キロ。
今までお世話になった路上の矢印が、ここで終わると書いてあった。
次の一歩で、残り999メートルになる。
一歩一歩、ゴールに近づく。
サポーターが、「おかえり」と言ってくれる。
「ただいま」の声が震えて出ない。
ゴールが見えた。
赤い絨毯の横に並んだサポーターがバンザイをしている。
自分だけのバンザイをしてもらいたくて、順番を待った。

ゴールの瞬間のポーズも練習していたのに、あまりの感動で、普通のバンザイを しただけだった。

人生で1番辛く、1番楽しかった100キロが終わった。

3 ゴール後
この姿のままでは、電車に乗れないので、土手の斜面で、長ズボンを履く。
汗だらけなので、裸になって体を拭きたいが、更衣室がないからそれも無理。
他の皆さんはどうしているのだろう?
できれば就実大学の体育館でも借りて更衣室にしてくれると助かると思った。

4 人生が変わったか?
エントリーした時点で、人生が変わったと思う。

一色 祐司

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