「71才、初めて参加させて頂きました。」山本 卓二

71才、初めて参加させて頂きました。

65才の時に大した準備もせずに津山から岡山までの60キロを歩いてひどいマメと足腰の痛みでゴールの岡山駅には這うように着いた苦い経験があるので、今回は準備に時間をかけてのぞみました。

マメ対策はキネシオテープとワセリンが、ヒザの痛みには膝バンドとストックが有効でした。

事前の歩き込み練習も効果があったと思います。

骨盤ウォークを取り入れて歩幅が広がり歩くスピードが1割以上上がりました。

靴は足へのダメージが一番少なかったものを選び、行動食はおにぎり、エナジージェルや塩飴、大福などを練習時に試して選び、日焼け対策もしました。

コースを実際に歩いておいたのも峠などのつらい道でこの先どこまで続くのだろうという不安を感じる事がなくて良かったと思います。

一時は29度の予想最高気温が出たり雨予報が出たりしていましたが、当日はまずまずの天気で一安心。

しかし2カ月で350キロ以上歩き込んできたのにたった20キロで足に痛みが出た上に朝から鼻水が出ていて体が重く、早くも「リタイヤ」が頭をかすめました。

35キロあたりで痛みで道端に座り込んでしまい、50キロまでは飲むまいと思っていた痛み止めを飲んでしまいました。

その後の道で若いご夫婦がバナナや飲み物を用意して下さっていてその姿には涙が出そうでした。

深夜に及ぶ要所要所のエイドや地面の矢印に書かれた励ましの言葉にも心を打たれますし、単調で暗くて長い土手道には一定間隔でロウソクが置かれていたり、夜 身体をぶつけそうな所には夜光灯を置いてくれていたりと行き届いた気遣いに終始感謝でいっぱいでした。

45キロの備前中学校では卵かけごはんとゆで卵を頂きましたが、ゆで卵に書かれていた応援メッセージが「あきらめることをあきらめる」と、まるで私の心を見抜いたような言葉でした。

食べていると孫たちが応援に駆けつけてくれてダブルでパワーをもらいました。

51キロの伊里漁港を過ぎると足の痛みがぶり返してきたので歩けるうちにと頑張って歩くのですが、休憩を取ると追い抜いた人に抜き返されると考えてしまいます。

これは自分との戦いであって人と先を争うものではないのについそう考えてしまう自分に反省します。

ひとりで歩く暗い道は自分と向き合う時間になります。

地面の矢印に「わたしの敵はわたしです」と書かれていてこれまたズバリでした。

60キロの閑谷の公園で豚汁を頂いてまた長い坂を登りますが、真っ暗な坂で路面の段差で転びそうになり、道路にせり出した木の枝に突然顔をなでられてびっくりします。

集中力が落ちてきています。

70キロのリバーサイド和気からの長い土手道でまた痛みに耐えきれず土手脇にへたり込んでしまいます。

何人もの人が通り過ぎて行きますがもう前のようには考えません。

わたしの敵はわたしです。

77キロの磐梨中学校を出た頃には腰の痛みも出てきましたが我慢して歩きます。

痛みでペースが落ちていて時間内にゴールできないかもという恐怖心から痛みをこらえて歩き続けたのですが、このあたりで一度しっかり休憩を取る勇気を持つべきだったのかもしれません。

そのうち上半身が左に傾いてきて、マラソンのゴール前で身体を傾けフラフラになって歩くランナーを思い出します。

これは極度の疲労、脱水、電解質の乱れ等による中枢神経の障害のようで、平地にもかかわらずストックを取り出して傾く体を支えます。

苦しくて苦しくて仕方なかった時に何度も考えたのは、どんなに苦しくても一歩ずつでも前に進まなければ絶対にゴールには着けないということです。

絶対にです。

95キロの中原橋を渡った所で草むらに大の字になって休憩を取りました。

沿道のご婦人が心配して声をかけて下さったので笑顔で応えます。

歩くのはひとりでも多くの人に支えられてここまで歩けていると感じます。

99キロで河原に降りた所で痛みが一段とひどくなって最後はやっと歩いているという状態になり、ゴールがあと1キロ先だったらあきらめていたかもしれないと感じる本当に限界ぎりぎりのゴールで、ゴールをくぐった時は喜び・感動よりもやっと着いたという思いでした。

少し落ち着いてみると、一生懸命トレーニングや準備をしてきたこの数カ月の事も、歩き終えての気持ちもとても楽しかったと思えます。

多くの学びがあり充実感と達成感でいっぱいです。

背中のゼッケンのメッセージ欄に「背中を押して下さい(71才)」と書いていたのを見て何人もの人が声をかけて下さったのもとてもありがたかったです。

主催者の周到な準備、サポーターの方々の気遣いと努力、沿道の方々の応援、共に歩いた人達、家族、友人…感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。

来年も出るかと聞かれると、二度はムリ…というのが今の正直な気持ちです。

でも、出て良かった!! です。

山本 卓二

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