「2度目の完歩を終えて」安藤英洋

2022年100キロを完歩することができました。
支えてくださった実行委員、サポーターの皆様に感謝です。
ありがとうございました。

思えば、2020年大会にエントリーしてコロナ禍で2年の延期、3年ぶりの開催でした。
その間も参加に対するモチベーションが下がることはなく、心待ちにした100キロとなりました。

私自身は岡山政経塾時代に16年前に昔の100キロコースは完歩したものの、
年齢も、体重も重ね、当時よりも過酷なコースに完歩できるか確証はないままでした。

事前練習

100キロ歩行を楽しむ会の皆さんの練習会に参加し、25キロ、30キロの長距離を2ヶ月間、2週間隔ぐらいで歩きました。(目的:長距離歩行での筋力アップ、長距離歩行時に負荷がかかって痛くなる場所を事前チェック)

体重管理

2ヶ月前からダイエットを開始、2ヶ月で4キロ落としました。
(目的:100キロ歩くので、体重の負荷は少しでも軽い方が有利です)

事前準備

足むれ対策/通気性の良い5本指ソックス、通気性の良いランニングシューズ
(目的:足むれ⇨水脹れ誘発となり、ダメージが増えます。今回足の水脹れ、マメはできず。完歩の重要要因)

筋力補助/キネシオテープで、足裏のアーチ保護・ふくらはぎサポート
(目的:筋力補助により負荷軽減と疲労を抑える)

寒さ対策/夜用に長ズボン、ウルトラライトダウン
(目的:筋肉が冷えると稼働が落ちるので、夜間でも体温の保持が重要です。今回寒さを感じることなく完歩できました)

タイムスケジュール/8時ゴールを想定した通過スケジュール
(目的:目標通り進むことで、精神的な安心感が得られ、余裕が出ます。8時設定であれば多少遅れても完歩可能。今回はほぼ完璧にスケジュール通り歩き切りました。スケジュール提供いただいた100キロ歩行を楽しむ会には大感謝!)

熱中症対策/塩分補給キャンディ
(目的:日中は汗で失われる塩分補給が重要です。塩分不足で足がツルなど防げます)

エネルギー補給/アミノ酸系ゼリー飲料
(目的:すぐにエネルギー変換できるようにアミノ酸系ゼリーを持参しました。固形物の消化はエネルギー消費しますし、効いた気がします)

当日の思い出(備忘録として記載しますので、あまり参考にならないかもです)

・0キロ〜

できるだけ、体力のあるうちにとの考えから、時速5.5キロ〜6キロで進みます。最初は飛ぶように順調に進んだ思いがあります。日中暑すぎず適度な気温でしたので、汗を適度にかき、トイレに行くこともなく順調です。途中途中でサポーターの方に声がけいただいてありがたい。

一定のところまでは色々な人を追い抜いていきますが、ある程度進むと周りのチャレンジャーとペースが揃ってきて、抜きも抜かれもしない区間が続きました。前の人をペースメーカーにしながら進んでいきます。

・30キロ〜

自宅近くを通ることもあり、家族が応援に出てくれていました。夕方に差し掛かってきて日中の日差しの影響もあり、徐々に体力が厳しくなっていく気がしました、長船あたりでは「参加しなければよかった」と思いがよぎることがありました。ちょうどその頃地面に貼られた 矢印に「のどかな風景を楽しんで」と書かれていました。「そうだ、楽しまなくっちゃ、楽しもうと思って参加したのに、こんなしんどい思いしてる事自体を楽しまなくっちゃ100キロじゃない」と思い返し、気持ちが持ち直りました。

・湯次神社〜

最初の難所、峠越えです。夜間装備をして気持ちを切り替えアタック開始。何度も事前に見ていた峠なので、距離感もあり、一気に登り切りました。この峠はカーブを曲がるたびに上り坂が現れて無限坂に感じますので、下見ありなしではかなり印象が違います。そして、備前中までずっと下ります。膝への負担は下りの方が遥かに強いですし、水脹れができていた場合、下りで破れる可能性が大です。今回は足裏が綺麗だったのは本当に助かりました。

備前中では、サポーターの皆さんに歓待いただき、卵には「動けば変わる」のメッセージ。今の自分に大事なメッセージでした。

そして備前中から出てすぐ、「アンディ 一人じゃないよ」と声がけしてくれた波夛さんがいました。一人で歩いてくけど一人じゃない、自分は一人で歩いているつもりもで、周りの人がついてくれているんだと感激しました。この言葉もまた大切なメッセージでした。

日が暮れて冷え込んできましたが、暑さが終わりペースがアップしてきました。備前中でしっかり休憩して応援してもらったお陰ですね。

前を歩く人をペースメーカーにしながら、時速5.5キロペースで順調に進みます。

・伊里漁協〜

予定通り伊里漁協到着、家族が顔出ししてくれて元気が出ましたが、休憩もそこそこにすぐ出発

この後、さらにゾーンともいうべく、自分の足でないような感覚の中、ぐんぐん進んでいく自分がいました。足は痛いものの、全く問題にならず。閑谷下のローソンまで到達。そのまま閑谷越えも思いましたが、調子に乗らずトイレ休憩。その後閑谷越えアタック開始です。上りが続きますが、ペースも落ちる事なく進み、閑谷緑地に到着。

ここでの温かい豚汁は本当に染みました。サポーターの皆さんからも「顔が死んでないから大丈夫」とエールをもらい再出発。この後の更なる峠は全くの未経験。

ダラダラと延々続くような上り坂の中、止まったら最後と上りきり、今度は延々下り。

この後、前方のチャレンジャーが誰もいなくなるタイミングと交差点に差し掛かり、ちょっとどちらに行けばいのかわからなくなりました。足を止めるのはしんどいし、GPSも見方が少し煩雑でした。

そうこうしていると他のチャレンジャーが現れて、その人について行くことで難を逃れました。

・和気リバーサイド〜

リバーサイドで小休止。そして、和気の土手に差し掛かりました。道が新しくなっていたと聞いていましたが、まっさらなアスファルトに空港の滑走路のように左右にキャンドルが数キロ続き、空には満天の星空。澄んだ空気の中1時間の土手です。そんな中30分ほどすぐ後ろを歩いてくる足音に押され歩きましたが、ふと足音が聞こえなくなったので、振り返ると誰もいません。延々直線ですし、ヘッドライトしていれば遠くからでも人がいるのはわかるはずですが、、、謎です。漆黒の闇だけがありました。。。

予定通り進めていて順調です。

この頃、友人の永野さんが安藤を見つけにきてくれました、真夜中に駆けつけてくれて感激しました。GPSがなければ流石に発見できなかったのではないかと思いました。

磐梨中学校までは5.5キロペースを維持する計画でしたので、なんとか踏ん張り、計画2分遅れで到着。深夜のおにぎりの炊き出しパワーが出ます。

・磐梨中学校〜

ここまでくればゴールが見えてきました。足は痛いですが、ペースが劇的に落ちるようなダメージもなく想定外に状態が良かったと言えます。通気性の良い靴のおかげで靴の中が蒸れずよかったのだと思います。

夜が明けるまでにどこまで行けるか大事と思っていましたので、計画通りスタート。歩き始めは痛みでヨタヨタしますが、すぐ慣れて進めます。ここから先は5キロ、3キロ毎に10分の休憩がセットしてあります。

このタイミングではそれぐらいの休憩を挟まないときついです。

タイムスケジュールは本当によく整理されています。ペースも落ちるので、この頃は5キロベース。自分では頑張っているつもりですが、勝手に5キロにペースが落ちます。

・桜ケ丘団地〜

最後のアップダウン。これまでの上りを経験すれば、なんのこれしき、心を決めて上り切ります。そして、残り10キロを切りいよいよという時に、右足甲の筋が痛み始めました。歩き過ぎで疲労が蓄積したものですが、残りも少ないので、なんとかなると思いながら歩行継続。しかし、時間的に余裕が出たせいか、体力の限界か、5キロを維持するのがやっと。残り10〜5キロしんどかったです。

・残り5キロ〜

いよいよ、ゴールが近づいてきました、このペースなら計画通り22時間ぐらいでゴールが可能です。あんなに長かったのに、もう終わってしまうのか、と思えば少し寂しい気持ちになった自分に驚きました。走馬灯のようにスタートからの出来事が思い出され感慨に浸りながら、時速4キロぐらいで噛み締めながら歩きました。

土手をおり、フィニッシュゲートが見えた時、少し込み上げてくるものがありました。

・ゴール〜

家族がゴールを見にきてくれています、遠くから息子の「パパ〜」という声が聞こえ、レッドカーペットを歩き、家族4人で手を繋いでゴールしました。

とてもいい思い出になりました。今回16年ぶりにチャレンジし、無事ゴールできたのも様々な方のサポートのおかげでした。

準備段階から、当日まで「一人じゃないよ」だなぁ、と心の底から感じることができるチャレンジでした。

100キロ歩行が開催できるありがたさ、チャレンジできる環境と健康があるありがたさ、応援してもらえるありがたさ、「頑張って〜」と言ってもらえるありがたさ。何一つとってもかけがえのない経験でした。県外でチャレンジではなく地元の岡山で参加するからこそ多くの友人知人に支えられて乗り越えることができました。

本当にありがとうございました。来年からまたこの経験を胸にサポートさせてもらいます。

安藤英洋

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次