「2023年新しい景色を見たよ」木村健太郎

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★100km歩行との出会い‪★
職場の人が「晴れの国おかやま100km歩行の抽選に申し込みをした」と聞いて4年前のことを思い出した。

2019年12月。とある人から聞いて知った「晴れの国おかやま100キロ歩行」。全く知らなかった。家の近くでこんな大会が行われていたことを(知り合いに聞いても「知らない」って人が多かった)。

「出てみたい!」が最初の感想だった。
しかし、私はその時期に人生最大の困難に陥っていた。バセドウ病と診断されていたからだ。
「何もしてないのに汗をかき、運動後の疲労感がずっと回復せず継続した状態」
バセドウ病とは甲状腺の病気だった。
不思議なもので、自分では何一つ体力を使っていないないのに朝起きてから寝るまでの間、寝ている時も全身の疲労感が連続していた。
立ち上がると重力に負けてしまう。怠けているような気がした。心も気持ちも元気いっぱいなのに体のあらゆる器官が勝手に疲労してしまう。
体の動きを司るホルモンが甲状腺から出すぎている。血液検査ではそう言われる。でも、出すぎている自覚なんて全くない。意識して出している訳でもない。コントロールなんてした事ないし出来ない。
「あぁそうか。体が今までちゃんと僕を動かしてくれていたんだ」
この体験は「生かされている」という気持ちを実感と共にもたらした。

仕事も続けていたが普通の仕事がこなせず、仕事中に横になって休ませてもらう時間が増えたり仕事を優遇してもらったりして、みんなに申し訳ない気持ちもありつつ、でもしっかり病気を治したいと思っていた。当時34歳。まだ長い人生があるならば、今無理する必要は無い。そう思って仕事を辞めた。
この時期に辛いと思っていたのが2つ。
仕事が続けられなかったこと。育ちゆく5歳と3歳の娘と満足に遊んであげられなかったこと。

心は元気だったので、甲状腺の働きが正常に戻って次の仕事に就くまで半年間をポジティブに過ごそうと思い、色んな人と会える場所に仕事関係、プライベートと色々と顔を出した。
その時に知ったのが「晴れの国おかやま100キロ歩行」でした。
バセドウ病が良くなったら絶対出よう!と思っていたが半年後に再就職し新しい職場で身を立てること、日々子供の成長を伴走しながら見届けることに精一杯の日々ですっかり忘れてしまっていた。

「抽選なら申し込んでみようかな」そう思ったのが始まりだった。

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★スタートからゴールまでの感想★
大会直前、職場でコロナがチラホラ出たので、勤務変更で出勤になるかもしれない、もしたら出れないかもしれない、とかなりナーバスになっていた。

大会中2日間の天気は最高のコンディション。やはり晴れ男に天気の心配は無かった☀️

練習は2ヶ月間でトータル100キロ。一回最長26キロ。歩こう会の練習会にも1回だけ参加出来て、コースの下見と質問が出来たのは心の安心につながった。

50キロ地点までは快歩。
いい天気と音楽にのってスイスイと歩く。夜になってヘッドライトの明かりで外を歩くのは探検気分でワクワクした。

次の10キロ先、60キロ地点の閑谷学校までで身体が限界を迎え予期せぬ状態になってしまいました。50キロから60キロまでの間の区間が山道で、下見はしていたけれどこれまで歩いてきた50キロの上乗せで足に異変が。登り道と長いトンネルが腹立たしかった。
なんとか休憩ポイントまで辿り着いたものの座ったら立ち上がれない、という初めての経験。あと残り40キロをこの状態で…と考えるだけで絶望。
さらに悪いことに、休憩後の道は長い坂道。まだ登る。ひたすら真っ暗で長い。山の中の広域農道。腹が立つー!
ここからが限界と回復を行ったり来たりの始まりでした。

ゴールの西川原まで残り22キロ地点はまだ熊山あたり。これから赤磐の山陽団地の上り下りもある。牟佐から中原橋までの長い土手道もある。歩く時間にしても5時間かかる計算です。
本当の限界は22キロ地点でした。まだ5時間以上の道のりを水膨れの出来た両足、同じ動きしかできなくなった足の筋肉、一歩歩くと痛む状態を22キロも続けるのは嫌過ぎました。

周りの人は自分を追い越していく。中には座り込んだりストレッチを繰り返す人もいる。

最後まで歩いてゴール出来たのは仲間との出会いと家族の支えがあったからです。
山陽団地を登り始めて同じペースの方と仲良くなり残り20キロの時間をずっとしゃべってました。そういう出会いが痛みを和らげてくれたのだと感じました。最後はもう一人仲間ができて、ゴール。最後は家族が出迎えてもくれる最高のゴールになりました。

1人で歩き始めた100キロが最後には仲間と笑ってゴール出来たこと、家族や友達に沢山励ましてもらえたことがとても幸せでした。

深夜でも炊き出しやボランティアの方の応援の声には元気をもらいました。夜中までサポートがあってたくさんの人に支えられている大会だと思いました。

完歩率が毎年7割だと知って、みんなすごいなと思いました。7割って多いと思ったので自分の完歩も少し霞んだ気がしましたが、傷だらけでぎりぎりの状態の人が5割はいると思うのでやっぱりすごいんだよ100キロ歩くのはって😊
マラソンで走るのは気合い。100歩行で歩くのは忍耐。そう思います。

安心して自分の限界に挑戦できる大会。
それが晴れの国おかやま24時間100キロ歩行でした。

(帰って服脱ぐのも大変で、スポーツタイツは妻に脱がせてもらいました😋ありがたかったです)

木村健太郎

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